【図書館総合展フォーラム開催記】ScholAgora 新しい「会話、連携、協働、そして理解の場」を求めて

2024/11/19

ScholAgora
新しい「会話、連携、協働、そして理解の場」を求めて

NPO法人 ScholAgora 代表
永井 裕子

「学術研究の発展にとって、多様性を包摂した、公平で持続的な学術コミュニケーションが重要な役割を果たす」という理念の下、ScholAgoraは11月6日午後3時半より、図書館総合展で「ScholAgoraを紹介する」フォーラムを開催した。研究者、大学図書館、学会、URA,、企業、商業出版社、印刷会社の立場から、学術コミュニケーションに関して、もしくはOpen Accessについて、そして自身の役割についてなど、自由にそして今、お持ちのお考えや意見を述べていただくという形をとったフォーラムであった。参加申し込みは102名、on line と思われて登録された方や、やむを得ないご事情でのご欠席もあったが、81名の参加者で、会場は満席となった。講演者は7名の方であった。この全員の方が、フォーラムでの講演をほぼ即答で快諾くださった。これは頼んだこちらが驚くばかりの出来事でもあった。この事は、進むべき方向性を模索しながら、まだ、のろのろと道を開墾しているかのごとくのScholAgoraを信用していただいた事に他ならず、フォーラムを開催するにあたって、大きな励みとなった。そして、会場では参加者の方々がなぜか、とても楽しそうで、(はじめに、楽しく聞いてほしいと私が言ったからか?)私も参加者の皆様のお顔を拝見して、だんだん楽しくなってしまったというフォーラムとなった。私の挨拶を含め、この日の講演者の資料は、HPに公開している。ぜひご覧いただきたい。

 さて、2003年に開始されたSPARC/JAPANという活動を通じ、私は、学会から、外へ飛び出すこととなった。それは、その頃より、隣に立っているかの如くであったOpen Accessを常に意識しながら、その時々に直面した問題、例えば、NIH Policyの発表などを図書館、他学会、研究者、企業、商業出版社の方々と意見を交換する、またはお話を聞くことにより、Open Accessを考える機会を与えられることとなった。それは得難く、貴重で、そしてアップアップするほどの情報量を得ることとなり、そしてそれらを理解せねばならない経験でもあった。それは学会で事務を任され、学術誌を出版する仕事を行うといった、学会の中だけで過ごしていた世界とは、根本的に異なるものでもあった。その稀有な経験をさせてくれたSPARC/JAPANには、なんとお礼を言えばよいか?と思う。私は小さい存在であるけれど、私にとっては異業種の方々との出会いは、大きな経験となった。私は、この20年間の経験を、そして「多様性を包摂する学術コミュニケーション世界だからこそ」その多様性を多くの方々にご理解いただきたいと考える。こちら側から見た事実とは異なる相手側の事実があること、それを理解することが学術コミュニケーションを推進する第一歩になることもあるだろう。

 

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